アフリカ~北海道移住 21. あとがき

タンザニアの有名な国立公園に、セレンゲティとンゴロンゴロがある。どちらもゾウやらキリンやらライオンやらありとあらゆる野生動物を見れるのだが、印象に残っているのはンゴロンゴロのとある風景である。ンゴロンゴロには大昔のカルデラ噴火によってできた巨大なクレーターの中心部に動物たちが生息しているエリアがあり、もちろん野性動物のいる風景も素晴らしいのだが、自分は中心部に行き着く前のクレーターの外周部、生態系豊かなサバンナがプツリと途切れ、突如として見渡す限り、火山灰混じりのゴロゴロした岩で覆われた不思議な光景が現れたのを見て、急にその数年前に北海道で見た、オホーツクの流氷が彼方の水平線まで続いている光景がフラッシュバックした。2つの景色に共通するのはただただだだっ広い単色の風景と静寂、時折鳥の声。言葉に表すのが難しいのだが、自分はこれらの風景に、急に人間社会から自然の中に放り出されたような、心臓をぎゅっと素手で掴まれるような言いようのない心細さを感じると同時に、地球との微かなつながりを再確認させられたような気がして、どちらのときもなぜか涙が溢れたのを覚えている。

北海道とアフリカ、地理上も気候も何もかも違う2つの場所だが、自分にとっては心の原風景がそこにある ‐‐‐‐‐

ここまで読んでいただいてどうもありがとうございました。まだまだ新米農家なので、就農後から2年後位までをいずれまた振り返れればと思っております。

今後ともよろしくお願いいたします。

 

アサンテファーム 髙栁力也

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