アフリカ~北海道移住 8 最幸の国 タンザニア⑤ 山あり谷あり~タンザニアの教育事情
私が農業を始めた背景を知っていただきたくて、アフリカへ行く直前くらいから就農するまでの出来事を記載しています。しょうもない内容もかなり多いので、あまり期待せずに読んでいただけると幸いです…
(前回までのあらすじ)
英語が上達して自信を取り戻したのもつかの間、生徒たちは教師である俺よりも金で雇った家庭教師を信頼していた。
そこらへんの兄ちゃんの方が俺より生徒から信頼されている現実に対し、前回のボイコット以上に深く絶望したが、アフリカの陽気のせいか、生来の楽天的な性行からか、一晩ですぐに気を取り直し、ボンヤリ歩いていた生徒の襟首を捕まえて、率直に自分の授業のどこが悪いのか聞いてみた。すると、『あんたの授業は確かに面白い。だけど、俺たちには大学受験が控えている』と言われた。当時の俺は、『でんじろう先生』のような、実験をふんだんに取り入れたり身の回りの物を使って再現することによって物理現象を体感した方が面白いし、興味を持ってもらえるだろうと考え、また日本で研修中に行った模擬授業も受けが良かったので、そちらの方向に突っ走っていた。もちろん大学受験のことも考えて補講を行っていたのだが、メインの授業はどうやら独りよがりだったらしい。
ここで、タンザニアの教育事情について話しておきたい。 JETROのデータによると、2012年時点で俺が教えていた高校(Aレベルと呼ばれている。AはAdvancedのA)への進学率は12%、さらに大学となると4%という大変に狭き門である。学力以上に経済力の問題であきらめざるを得ない生徒が大勢いるのだ。高校へ行っている時点で大変なエリートであり、中には働いてお金を貯めてからくるものいるため同学年の生徒たちの年齢もまちまちだった。


改めて生徒たちを見てみると、サボってばかりのやつもいるにはいるが、電気も無い中ランプの光で夜も勉強するもの、大変に高価な英国製の教科書(高等レベルの教科書はタンザニア製のものは無かった)を数人でボロボロになるまでシェアするもの等々二宮金次郎のような生徒が大勢いて、見ていて自分のこれまでの人生が恥ずかしくなるようだった。翻って俺は勝手な授業をやって一人で気持ち良くなってる愚者、現場のニーズを汲み取れない阿呆そのものであると反省し、直ちにこれを改め、これまでひねりがないと忌み嫌っていた『ただただ受験対策問題を板書しまくる』授業スタイルに変更、補講の時間も使って受験問題により力を入れていった。その結果、教室に集まる生徒がだんだんと増え、生徒も満足してくれるようになり、休み時間も質問で列をなし、2年目には多くの生徒から大学合格の連絡をもらったことは大変に嬉しかった。 続く
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