ファイトケミカルについて①
いわゆる抗酸化物質として良く耳にする、『ファイトケミカル』とは何なのか、少し調べてみました。
1.ファイトケミカルとは
ファイトケミカル(phytochemical)とは、広義には植物が生成する化合物全般を指す場合もあるようですが、特に栄養素としてのファイトケミカルについて語られる場合は、”植物が病虫害や過酷な寒暖差などの過酷な環境に適応して生き抜くために生合成される物質”を指すことが多いようです。約100万種類あると言われるファイトケミカルのうち、90%は未知物質で、まだまだ研究段階の模様です。ファイトケミカルは炭水化物、脂質、タンパク質の3大栄養素、各種ビタミンやミネラルとは別の物質であり、健康の維持・増進に役立つことが期待されています。
具体的には、ポリフェノールやフラボノイド、カロテノイド、大豆イソフラボンもファイトケミカルの一種です。
ファイトケミカルは大きく以下4種類に分類されます(別の分類もあるようですが・・・);
- ポリフェノール群・・・フラボノイド(アントシアニン、カテキン、イソフラボン等)、フェノール酸等
- カロテノイド群・・・α-カロテン、β-カロテン、リコピン、ルテイン、カプサイシン等
- 含硫化合物・・・イソチオシアネート系、システインスルホキシド系等
- その他・・・リモネン、GABA等
これらの中には、抗酸化作用や免疫力の向上など、さまざまな健康増進作用が期待されているものが数多くあります。
2.ファイトケミカル豊富な野菜の特徴
関連する研究によると、農薬や化学肥料を使用しないオーガニック野菜と慣行野菜の間で比較したところファイトケミカルでは10-50%オーガニック野菜の方が含有量が高かった、とのことです。尚、その他栄養素(ビタミン等)では両者の間に有意な差は認められないようです。
それでは、オーガニック野菜ならファイトケミカルが常に豊富に含まれているのかというと必ずしもそうではなく、品種特性、生育ステージ(熟しているか否か)、病虫害、土や水、気候など様々な要素に左右されるようです。
3.ファイトケミカルは体に良い?
ファイトケミカルは抗酸化作用、免疫機能向上が大いに期待されており、既に関連するサプリメントも多数売り出されています。例えばブルーベリーやぶどう、ナス、黒豆その他野菜に含まれる青紫の色素であるアントシアニンは肝機能や視力の向上、トマトに含まれるリコピンは活性酸素の抑制やメラニン(紫外線によるシミ)の生成抑制、中性脂肪抑制、大豆イソフラボンは更年期障害の改善、等々。
それでは、これらファイトケミカルは摂れば摂るほど体に良いのかというと、これも必ずしもそうでは無いようです。例えば、ポリフェノールの一種で赤ワイン等に豊富に含まれるレスベラトロールを用いた実験では、マウスに一定量を投与した際には心臓保護作用を示したが、100㎎/kg体重では有害であった、という研究結果も出ているようです。ファイトケミカルの多くは、過酷な環境や病虫害へ抵抗するための『武器』として植物が生成したものなので、摂りすぎると逆効果になるものがあるのも頷けます。15世紀のスイスの医師、パラケルススの言葉で、『すべてのものは毒であり、 その毒性は量で決まる』という言葉がありますが(今回初めて知りました...)、なんでも摂りすぎは良くないということですね。
従い、サプリメントを使用する際は容量・用法を守った方がより高い効果を発揮すると思われます。また、個人的にはやはり成分が濃縮されたサプリではなく、できるだけバランスの取れた栄養素を摂取できる野菜や果物からファイトケミカルを摂取したいと思いました。
長文になってしまいましたが、興味のある分野なので引き続き勉強していきます。
〈参考〉
- サプリメントより野菜がすぐれていること(タキイ種苗)
- Does Organic Production Enhance Phytochemical Content of Fruit and Vegetables? Current Knowledge and Prospects for Research (Xin Zhao, Edward E. Carey, Weiqun Wang, C.B. Rajashekar)
- ファイトケミカルがもつoff-target効果の意義(村上明)
- 図解でわかる!からだにいい食事と栄養の教科書(本多京子、永岡書店)
おはようございます。むつみ屋です。興味深く読ませていただきました。
今後ともよろしくお願いいたします。むつみ屋
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